| 阪神電鉄が阪神間に鉄道を開通させた後、球団経営に乗り出すまでには３０年の歳月を要した。 １９０５年、阪神は大阪と神戸を結ぶ鉄道を開通させた（明治３８年・西梅田出入橋－神戸市雲井通間の開業）。日本で京都・名古屋・大師に走っていた電車はすべて市内電車だった。阪神電鉄は日本初の本格的な都市間電気鉄道として開業した。 「待たずに乗れる阪神電車」のキャッチフレーズの下、当時では画期的な12分間隔運転を行って便利な輸送を心がけた。 開業時の１型電車は全長１４ｍのボギー車で、８０人も乗れる極めて大型の電車だった。当時、阪神の鉄道技術水準は間違いなく日本のトップだった。 また阪神が技術導入して建設した尼崎発電所からは電気がなかった周辺の村に電気を供給した。周囲の町は阪神によって発展していった。 |
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| 阪神電鉄は開業当時から現代まで鉄道技術を中核としている会社。 何もない土地に先取りした路線を引き、宅地開発を進めた攻めの経営の阪急に対し、古い町並みを曲がった線路で結び、地元乗客本意の運転を行ったのが阪神。「赤い特急」と「青い普通」の２種類の電車の本数を極限まで増やし、網の目のような複雑なダイヤをやりくりして運行する技術は見事と言える。 車両技術では阪急と比べようがない程のこだわりがある。８５年優勝の年に登場した写真の新８０００型特急電車は阪神らしい技術本位の設計。７０年に阪神で初めて取り入れられたチョッパ－制御から発展したＢＳ－１４０３Ａ回生抑速制動付界磁チョッパー車。ブレーキには電子指令式を採用。静止インバータ装置や故障表示モニタまで設置しています。乗っている一般客は何がいいのか解からないのにすごい。これぞ阪神電車。 土木技術でも地下線や高架が際立ち、特に「日本初の高架橋梁上の車庫」として有名な石屋川車庫が代表格です。 阪神は「電鉄会社だから慎重」といいますが、技術面に関してはあくまでも革新的です。 |
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| 現在、阪神電鉄に平行して大阪－神戸間にはＪＲ神戸線と阪急神戸本線の２つの路線が走っている。 ＪＲ神戸線は都市間輸送としてのスピードが魅力で、駅数は１４。阪神急行電鉄として出発した阪急神戸本線の駅数は16駅。対して阪神本線は大阪－三宮の間でほぼ倍の３２駅。阪神はどの街からでも必ず歩いていける距離に駅があるという事だ。 線路は平行ではないが、駅を近そうな所で並べてまとめます。 阪神の駅の多さを見て下さい。 阪神は駅が多いので直行列車の速度は遅くなるはず。確かに各駅停車は阪急が40分弱なのに阪神は50分以上かかる。しかし特急は梅田－三宮を阪急と全く同じ27分で結ぶ。ここに阪神電鉄の「運行技術」の高さが垣間見られる。 阪急の神戸行き各駅停車は西宮北口駅のみただ一回 特急に追い抜かれるだけだが、阪神では各駅停車は何度も何度も追い抜かれる。阪神本線は大阪神戸間で３ｋｍおきに追い越し設備があります。（阪急は８ｋｍおき） 各駅停車は非常に不便で阪神間を直通で乗る人はいません、青い電車は地元の人のためだけの電車です。 阪神には毎日乗って始めてわかる土着的な良さがある。 球団経営に対しても、ライバル阪急があでやかであれば阪神はどろくさいというイメージでしょうか。ブレーブスが赤のユニフォームならば白黒の縦縞、チーム力に対して個性、球団が用意したブラスバンドに対してファンが勝手に作り上げた大応援団。そういう経営方針で「反骨心が強く、人情にもろい関西人魂」を包み込む。 特急のようなスター選手がいても青色電車のごとき脇役がおり、その脇役こそを好むのが阪神ファン。阪神間３路線の中で阪神の客層は最も我が強い、それゆえ駅員は腰が低い。「わがままな地元乗客が望むものを提供する」という阪神の経営姿勢は不変であり、球団がファンの意見・世論・マスコミに弱いと言う事にも等しいと感じる。 頑固で不器用な技術屋、これが阪神電鉄の姿なのです。そして乗客は神様＝阪神ファンは日本一。 大阪タイガースはこのような親会社の経営姿勢の下に発足し、その経営姿勢を映し出しているように感じられる。以降掘り出していくタイガースの歴史に関して、電鉄会社のありかたを頭に入れておけば面白いのではないでしょうか。 |
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2008年2月 さくら夙川駅を追加改訂
写真撮影：げんまつWEB